2005年09月02日

蓬平

蓬平は、長岡にある静かな山間の温泉地です。
急な山肌をのぼったところに祀られている高龍神社への参拝、そして湯治と、
長岡の人々にとっての憩いの里です。

高龍神社 清流 竜神

そんな美しい山里も、昨年の中越震災では、震源地に近かったこともあり、
崩落による道路の寸断、多くの家屋倒壊などに見舞われました。
さらに冬の大雪、復旧途中での豪雨、と大きな試練ばかりを背負った地域のひとつ
でもあります。

しかし、蓬平で暮らす人々の持ち前の明るさと芯の強さは、
今なお、深い爪痕を残すこの地で見事に復活を遂げようとしています。


旅館 和泉屋の小さなギャラリー」

延々と続く道路工事、新たなライフライン確保のためのトンネル工事現場、
家屋が全て倒壊し、乗用車二台が未だに取り残されたそのままの状態の山壁が残る濁沢を
通って進んでいくと、自然災害の恐ろしさをひしひしと感じます。
緊張しながらも、やがて蓬平の温泉地区に入ります。
一見、まだ営業していないのかな、と思えるほど、土石流よけの砂袋や、
工事用のサインである黄色と黒がまだ目立ちます。

濁沢

でも、高龍神社寄りのほとんどの温泉旅館はこの夏までに営業再開。
長岡市内から、新潟県内から、首都圏から、多くのお客様が訪れてきています。

蓬平の中ほどにある旅館、和泉屋さんを訪ねました。
この八月一日に、地震の被害から"リマインド・オープン”*されました。
玄関の、左には大きな壷に活けられた花、
右の池には見事な錦鯉が元気に泳ぎまわっています。
でも、もっと元気で明るい三人の女将さんたちと、仲居さんたちが
笑顔でお出迎えしてくれます。

*リマインド・オープン:
 原点回帰、同じ場所で再出発するんだ、という和泉屋さんの強い意志表明です。

花

錦鯉


フロントの横に、何やらかわいらしいオブジェを発見しました。
何だろうと見てみると・・・

目出鯛


蓬平温泉復興支援のために、長岡造形大学が制作した美術作品でした。

よくみると、フロアのあちらこちらに、タペストリー、ポスター、彫刻などなどが
飾られています。もちろん、旅館内には、掛け軸をはじめ、油絵その他の美術品が
いろいろ飾られてはいますが、ついつい、地元長岡の若きアーティストの皆さんの
作品群に目がいってしまいます。

長岡造形大学が取り組んだ中越地震復興支援プロジェクトの数は、
もう15にのぼるそうです。
美術の分野での災害支援といえば、以前は記憶にとどめさせること、記憶を伝えていくこと、が中心だったように思います。
でも、アートとは心を揺り動かす力。
まさに、地震で閉ざされそうになった心に、もう一度上を向く活力を与え、
再出発へのエールとなる華を添えてくれるパワフルな支援のかたちがあるのだと、
あらためて感心しました。
小さなギャラリーは、蓬平を訪れた人々にとっては休暇を楽しむ彩のひとつ。
一方で、蓬平で働く人々にとっては百人力の応援団なのではないでしょうか。

つらい地震の傷跡を見た後で、ちょっと愉快なアートたちに囲まれると、ほっとします。
同時に、この地域に根ざして一生懸命生きて、お湯で体を休めにいらしたお客様に、
温泉よりももっと温かいおもてなしをしようとする蓬平の人々の姿が、
心にじんときます。
全国の名湯の数々に比べたら、本当に何にもないところかもしれません。
でも、この夏、あの地震に負けずに再出発した蓬平なら、ちょっとへこんだ気分なんか
きっと、吹き飛んでしまいますよ。

鯉のオブジェ

杯 タペストリー3

ポスター1 ポスター2 ポスター3

・旅館 和泉屋の詳細はこちら 
・長岡造形大学の詳細はこちら


※ちなみに、蓬平の温泉はとってもいいお湯です。お肌もつるつる!
 もちろんご飯もついつい食べ過ぎてしまうおいしさです。
posted by 紅屋重正 at 00:51| Comment(0) | 震災復興 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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